第1回
吉川英治文庫賞
受賞作

畠中 恵さん

畠中 恵さん

漫画家アシスタント、書店員を経て漫画家デビュー。その後都筑道夫の創作講座に通って作家を目指し、『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。2001年12月に刊行された本作は大ヒットとなり、以降、「しゃばけ」シリーズとして人気を博す。

新しい賞の一回目畠中 恵

 この度は、吉川英治文庫賞を頂き、ありがとうございました。長年書き続けてきたシリーズで賞をいただけて、大変嬉しいです。そして今、少し不思議な気持ちにもなっております。
『しゃばけ』シリーズは、今年15周年になります。ほぼ毎年出ておりますので、初期の頃読んで下さった読者は、学校を卒業されたり、結婚され、子供を持たれたり、物語が重なると共に、人生を重ねておられます。
 今までは、そういう長いシリーズというものは、賞とは縁が薄いかなと思っておりました。それが今回、シリーズを対象とした賞が出来、思いがけず自分が御縁を得た事に、今までと違ったものを感じたのです。
 この賞の選考方法が、これまでとは違う事も、新しいと思います。出版社の方と、書評家・識者、出版流通関係者の方、50名程度が、選出投票をされております。そして、そんな新たな形が、変わり種のお話にも、受賞の機会をもたらして下さったのでしょう。
 新たな期待が、膨らむのではないかと感じます。『しゃばけ』のような、少し変わった作品が賞を取れるのであれば、2回目からも、様々な作品が評価されるのではと思うからです。
 吉川英治文庫賞が大きく育って、多くの作家、書店、出版社が、楽しみに出来るものになりますよう、祈っております。

対象は、2014年12月から2015年11月にシリーズの5巻目以降が一次文庫で刊行された小説のシリーズ作品。