「吉川英治文庫賞」
創設の主旨
吉川英治国民文化振興会は、講談社の後援を得て、2016年、吉川英治文学賞・吉川英治文化賞が、第50回の節目を迎えるのを機に、吉川英治の名を冠した新しい賞を創設しました。
シリーズ大衆文学作品とその著者を顕彰するもので、「吉川英治文庫賞」という名称にいたしました。(正賞は銀杯、副賞100万円)
近年「シリーズ大衆文学作品」が隆盛ですが、刊行が複数年にわたるシリーズ作品は、これまでの文学賞の評価の枠組みでは、顕彰しきれないこともありました。
いっぽう吉川英治は、大長編大衆文学の代表作家です。優れたシリーズ作品を顕彰するときに、吉川英治という名こそ、もっともふさわしいと考えます。
対象となる受賞者と受賞シリーズ作
および選考方法
複数年にわたり、5巻以上の複数巻の文庫が刊行されている大衆シリーズ文学作品と、その著者です。12月1日から翌年11月30日までに、文庫最新巻が刊行された作品のなかから、受賞作品を決定いたします。
シリーズ作品の顕彰ということから、従来の文学賞とは違う選考方式を採用します。具体的には、約50名の選考委員に選考を委嘱し、候補作の推薦および受賞作の選出投票をお願いする方式です。
約50名の選考委員は、講談社を含む出版社からの代表者(各社1名)、識者、出版流通関係者で構成します。
立会人
選考委員に加えて、立会人に最終選考の開票に立ち会っていただきます。
第9回は、吉川英治文学賞受賞作家の逢坂 剛氏に、立会人を依頼しました。
受賞者・受賞作品の発表と贈呈式
吉川英治文学賞、吉川英治文学新人賞、吉川英治文化賞と、同時とします。
問い合わせ
講談社広報室
*なお、吉川英治文庫®は、講談社の登録商標です。吉川英治文庫賞を
理解していただくためのQ&A
- なぜ新しい賞の創設なのか。吉川英治新人賞、吉川英治文学賞と、どう違うのか?
- これまでの文学賞は、単体の作品でどうしても評価することになり、シリーズの前巻、前々巻で書かれたことまでさかのぼって作品を評価することがむずかしいところがありました。
たとえば、第3巻で置かれた布石を第5巻で見事に回収してみせたとしても、候補作単体で評価する文学賞では評価ができません。
こうしたことから、従来の枠組みで顕彰しきれなかった作品を顕彰する賞の創設が、時代の要請と考えるに至りました。 - 対象となるシリーズ作品の定義は?
- この賞の場合は、シリーズ作品の定義は広く捉えています。同じ主要登場人物が出てくる1巻完結で何巻もつづく作品もシリーズ作品ですし、5巻以上にわたる大長編作品も、シリーズ作品だと捉えています。
- 吉川英治文学新人賞の受賞者、直木賞など他の文学賞の受賞者も、この賞を取れるのか?
- 受賞の対象です。ただし、吉川英治文学賞の受賞者は対象外とします。
- 吉川英治文学賞の受賞者を対象外にする理由は?
- 吉川英治国民文化振興会と講談社は、吉川英治文学賞は、大衆文学と作家を顕彰するにあたっての最高の賞であると捉えているからです。
- 新人、中堅作家だけではなく、大ベテランの大御所作家も、受賞の対象になるのか?
- もちろん対象です。
- ジャンルは問わないとしているが、たとえばライトノベルは入るのか?
- 入ります。コミックは入りません。
- あくまで文庫化のタイミングを選考の対象としているのはなぜか?
- 初出の判型は問わず、単行本やノベルスで刊行後に文庫化された作品も、文庫書き下ろし作品も、同じ土俵で選考するというのがこの賞の特色です。
そうした特色を生かし、かつ、公平な選考をするために、ということで、文庫化の時点での選考ということにしました。
これにより、たとえば単行本やノベルスで6巻以上刊行していても、文庫で5巻以上刊行されていない作品は、対象になりません。 - 選考は具体的にどのように行われるのか?
- 第1次、第2次の2回の投票で受賞作を決定します。
第1次投票で、候補作(5シリーズ程度)を選出し、第2次投票で、そのなかから1作を選出します。 - 第一次投票の候補作は公表するのか?
- 公表します。第1次投票で上位に入った作品の作者には、候補を受けていただけるかどうかの打診をし、了解いただいた方に候補になっていただきます。
- 投票の順位は公表するのか?
- 第1次投票での順位は公表しません。
第1次投票の結果に上位作品(5作程度)のタイトル、作者名のみを公表。第2次投票の結果は、受賞作と作家のみ公表します。