第2回
吉川英治文庫賞
受賞作
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今野 敏 「隠蔽捜査」シリーズ (新潮文庫)
対象期間内の文庫新刊 『宰領 隠蔽捜査5』
今野 敏さん
上智大学在学中の1978年「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞受賞。卒業後、レコード会社勤務を経て作家となる。本シリーズ第1作となる『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を受賞。『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。「空手道今野塾」を主宰し、空手、棒術を指導。
受賞のことば今野 敏
デビューしてしばらくは、ノベルスで仕事をしていました。必然的にシリーズ物を書くことが多かったのです。1990年代の半ばくらいからハードカバー中心に変わっていきましたが、やはりシリーズ物をたくさん書いてきました。
別に最初からシリーズにしようと思って書きはじめるわけではありません。最初の1作はちゃんと読み切りで書こうと思っているわけです。それがなぜかシリーズになってしまうのです。そういう性癖なのでしょう。
ノベルス時代には、自分のことを「ペーパーバックライター」だと思っておりました。今でもそれはあまり変わっていません。このたび、文庫賞をいただき、ペーパーバックライターとしてこれ以上の喜びはありません。
隠蔽捜査シリーズも、やはり最初は単発のつもりで書いた作品です。それがいつしか、けっこう長くシリーズを続けることになりました。
シリーズ作家は、一流ではないと見る向きもあるようですが、私はこの仕事に誇りを持っています。それを評価してくださる文庫賞はとてもありがたい賞です。
さて、あと何年書けるかなあ。
対象は、2015年12月から2016年11月にシリーズの5巻目以降が一次文庫で刊行された小説のシリーズ作品。